ニワ タチアネ モニケ

ブラジル

日系スカラーシップ留学体験談~ニワさん

どうして日本へ留学しようと思ったのですか?

私は十代の頃から母が日本で学ぶ姿を見ており、母がNFSA奨学生として名古屋大学で博士課程にいた頃、一緒に住んでいたこともあります。奨学生となり、この貴重で素晴らしい機会をつかむ人は立派な方たちばかり、ほとんどスーパーヒーローのような存在ですので、当時は、日本へ留学して、母の志を継ぐことなど夢のまた夢だと思っていました。ブラジル帰国後、勉学を続け、しばらくの間、深く関心が持てるもの、将来へ向けて進んでいきたい分野を見つけることに集中しました。ついにそれが建築だとわかった時、今度はそれに長ける生徒になることを目指し勉学に励みました。そんな折、大学在学中にふと考えました。次は何をすべきだろう、と。建築の勉強を続けたいというのは明白でした。そして、母の応援もあり、日本留学について調べ始めました。日本建築はブラジルの建築と随分違いました。日本留学は、その全く違う建築を学んで成長し、ブラジル帰国時に自分の分野に特色を与える、素晴らしい機会であると感じました。

日本での生活はどうですか?

NFSAフェローの人たちが家族のように手厚いサポートをしてくださったおかげで、日本に来た時、困ったことはあまりありませんでした。このため、日本での生活の始まりは、他の日本在住の友人から聞く話と比べると、随分と楽でした。一年目寮に住んだことで奨学金プログラム同期生とも絆が深まりました。普段は日本の違う場所で住む奨学生仲間と、一年を通して、一緒に活動し、様々な事業に参加できたことも家族のような関係を築けた一因だと思います。日本での生活はたくさんの出来事があり、あっという間に過ぎていきます。他の皆さんへの私からのアドバイスは、どんなことでも最大限に取り組み、所属する大学の研究室での活動にできるだけ参加することです。この奨学金プログラムによって私が得た、日本の優れた大学で学習するという貴重な機会、そして建築の知識を習得することができたことにとても感謝しています。

どのような勉強・研究をしていますか?

現在、私は早稲田大学の建築分野の第一人者である古谷誠章教授の研究室に所属しています。外国人の受け入れにとてもオープンなこの研究室に入れてとても嬉しいです。今は特にデザインを伴うプロジェクトに重きを置いています。これが私の今の建築研究分野です。私が関わるプロジェクトは2つあり、一つは、日本の自然学校の研究、もう一つは美濃加茂市の活性化です。美濃加茂市は10数年前日本に住んでいた際に私が研究した街です。タイトルはまだ決まっていませんが、2020年にリサーチを始めます。ブラジルと日本の建築デザインに関するもので、ブラジルの北部に着目し、2カ国間の比較も含みます。

留学を通して、日系人としての意識が変わりましたか?

とても変わりました。ずっとブラジルの北部に住み、日本文化との接点は自分が日本人の子孫であるということだけでした。大きくなるにつれ、それが日系と呼ばれると知りましたが、私にはごく自然のことだったので、特に何も思いませんでした。しかし、奨学生に選ばれ、友達と日系人の生活に関する物語や講義、話を聞くうち、日系であるということや自分の生活で体験したことについてもっと深く考えるようになりました。今では、自分が日系であるということ、ブラジルと日本の繋がり、そして、日本にいる際はブラジルを、ブラジルにいる際は日本を代表するという責任感が高まりました。

将来の夢は?

今の夢は、大学生活だけではなく、日本での生活全体を通して学んだたくさんのことを自分のこれからの人生に活かすことです。母国では、自分の分野で働き、独立したいと考えています。ブラジルに帰ったら、まず講師としてしばらく働き、その後、ブラジル・日本、両方の建築の技術を活用する建築事務所を持てるといいなと思います。

これから留学を考えている人へメッセージを!

ぜひ挑戦してみてください!このような奨学金プログラムに出願するのは勇気の要ることと思います。物事が何であれ、挑戦し、失敗することへの恐れは誰しもが感じることでしょう。しかし、人生での様々な出来事と同じように、この挑戦でも、失うものは何もありません。一度目は失敗したとしても、もう一度トライしましょう!失敗から学び、成功するまでトライし続けましょう。奨学金は35歳まで出願可能です。奨学金プログラムの方や修了生に助けを求めてください。皆喜んで助けてくれます。これは私が実際にしたことですので、事実です。母の他に、奨学金プログラムの修了生たちにたくさん助けてもらいました。日本のような先進国で学ぶ機会を得られるのはごく少数の人ですし、それを奨学金によって体験できる人はもっと少数です。日系であることを再認識する機会と日本で学習できるメリットをぜひ活用してほしいです。そして何よりもまず、「私には無理」という気持ちに立ち向かいましょう。自信を持って、リスクを冒し、トライしてください。