吉田 ペレイラ ジオゴ エイジ
ブラジル
日系スカラーシップ留学体験談~吉田さん
どうして日本へ留学しようと思ったのですか?
日本の大学院に行くことは10代の頃からの夢でした。日本文化には以前から親近感を抱いており、将来は祖国ブラジルと日本との関係にかかわる職業に就きたいと思っていました。そのため大学院で国際関係を専攻し、日本におけるブラジル移民についての論文を書きました。ブラジルで始めた研究を続けるため、筑波大学の修士課程で私の研究分野の第一人者である先生に学ぶことを目的に来日しました。その先生以外にも日本におけるブラジル人社会に入りやすい立場にあるので、インタビューや観察などのフィールドワークを行うことで研究の信頼性を高めることができます。
日本での生活はどうですか?
私の人生において日本での生活は、成長することができるすばらしい機会です。外国で生活することも家族から遠く離れることも初めての経験だったので、新しく学ばなければならないことがたくさんありました。たとえば、家事、金銭管理、約束に対する責任、健康管理などです。すべてがチャレンジであり、時に困難でもありましたが、2年前に比べてはるかに問題対応能力がついたことは確かです。
日系スカラーシップは、日本で学びたい若者にとって最高の選択だと思います。経済的な支援以上のものが得られるので他の奨学金制度とは違いますし、日本財団日系留学生会(NFSA)のメンバーになれるなどユニークな機会もあります。このスカラーシップの大きな特徴は、日本財団日系留学生会(NFSA)があることです。NFSAのグループであると同時に、同じ価値観を共有し社会における自身の役割を大切にする日系ユースのグループでもあります。出身地はそれぞれ違っても、同じような関心を持つ多くの仲間と交流する機会が得られ、勉強になりました。
どのような勉強・研究をしていますか?
私の現在の研究テーマは、日本人と在日ブラジル人との多文化共生です。目的は、ブラジル移民がここ日本に適応していく過程を分析し、日本文化が彼らの生活にどのように取り入れられていったかを見極めることです。現在フィールドワークの最終段階で、いろいろな移民(年配の世代、若い世代)に話を聞いたり、日本での生活について詳しく尋ねたりしています。私が尋ねる質問のうち2つは、「我々ブラジル人は日本文化から何を学べると思いますか?」、そして「我々ブラジル人はブラジル文化から日本人に何を教えられると思いますか?」です。この研究の重要なポイントは、ブラジル人と日本人が時を経て歩み寄ってきた力学を明らかにするため、年配世代と若い世代との回答の違いを見極めることによって最新の結果を導き出すことです。
留学を通して、日系人としての意識が変わりましたか?
はい、変わりました。日本に来て生活する前は、自分は普通のブラジル人とは違う、非日系のブラジル人の友人たちとは少し違うと感じていました。私には多くの関心事と価値観があり、ふるまいさえも異なっていたからです。日本でも同じように感じるのだろうか、それを知ることに興味がありました。ここ日本へ来てみると、自分が日本人とは違うこと、日本社会とは違う関心、価値観、ふるまいが多いことにも気づきました。自分が何者なのか熟考したうえでの私の結論は、私には多国籍アイデンティティーがあり、無意識のうちに自分の中に日本とブラジルがあり、実際両方の国に属しているということです。私は現地社会との違いを感じることができるため、ブラジルにいる時は私の日本的な面が、日本にいる時はブラジル的な面がより表に現れます。この多国籍アイデンティティーを正しく使えば、文化的にずっと豊かな人間になれるだろうということに私は気づきました。日本に来る前は、日系とは単に日本人の血が流れているだけのことだと思っていました。今は、「日系であること」が、もっとずっと広い世界観を与えてくれる条件であると理解しています。
将来の夢は?
私の将来の夢は、ブラジルと日本をつなぐプロジェクトの開発、より公平で平等な社会の創生に貢献することです。日本での2年を経て、自分自身についてもっと知る機会を持ち、講義を行って自分の言葉で人々を触発することに大きな情熱を見出しました。そのため、現在最も大きな夢は、高度な資格要件を満たした大学教授になること、自分の専門分野の第一人者になることです。私の結論は、この仕事で私は何千人もの人々の生活に触れ、より良い社会の創生に貢献することが、私の知識と研究で主に教育や文化などの社会的な分野でのプロジェクト開発にかかわり貢献するための最も良い方法であることです。
これから留学を考えている人へメッセージを!
日本留学を希望する人には、多くの困難が待ち受けているということをまず認識してほしいです。しかしそのような困難は、より強い、より成熟した人間になるためには不可欠なもの、成長への条件なのですから、諦めないでください。研究については、その分野の指導者について、またその研究テーマを日本で実施できる可能性についてある程度調査することをお勧めします。日本の大学は、公立大学も含め、すばらしいシステムで成り立っているので、おそらく研究の機会を見つけることができるでしょう。最後に、来日したら心を開き、新しいことを学ぶ気持ちで、周囲だけでなく自分の中にあるものをよく観察し内省することをおすすめします。そうすれば、自分の世界観が開け、日本での経験が学究的・職業的・個人の成長のための突破口となるでしょう。
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