「日系」であることへの想い
2024年1月26日(金)、JICA日系社会次世代育成研修(中学生招へいプログラム)で来ている36名の中学生に対して、「日系であること」について考えるイベントが開催されました。 このイベントは主に日本財団及びJICAの奨学金が、後輩である中学生に「日系」であることに対してプラスに考えて欲しいという願いを込めて、約2時間のプログラムが組まれました。私はこのプログラムで30分のプレゼンテーションを任され、「日系人」としてこれまでの複雑な想いを語ることになりました。私自身、幼いころは日系であることをあまり重要視しておらず、なぜなら小さいころから私の周りは日本人ばかりで、「日系人」といわれる「外国人」との付き合いは成人するまでなかったからでした。それは、育った日本がとても閉鎖的な社会であるがゆえに、「日系人」という概念はなく、「日本人」であるのか、それとも「日本人」ではない「外国人」であるのかという二分法でしか考えられていないのが主な原因でした。なので、正直私が後輩たちの年齢の時は、日系であることが嫌いでマジョリティである日本人にずっとなりたいと思っていました。また「自分が何人であるのか」、「どこの国に属すのか」が分からなくなり、青年期はとても苦しむことになりました。私はせっかく日本に来て自分のルーツを探している後輩たちの想いをネガティブにしたくなかったので、プレゼンテーションは信頼している先輩友人のアドバイスにより、ネガティブな部分(自分がアイデンティティで苦しんだエピソード)を割愛し、プレゼンテーションを行いました。しかし、プレゼンテーションが終わった後に、数人の後輩たちが近寄り、自分も何人か分からなくなる時があり、苦しむことがあると話してくれました。また、今回の研修で「日系人」であることを前向きに捉えることができてきたと言ってくれた子もいました。それを聞いて、このイベントに参加して良かったと思いました。世代、年齢、性別、国籍、育った国が違っていても、マイノリティとして生きることの苦しみは同じであることを改めて気づかされました。しかし、マイノリティである「日系人」であるからこその強みは多くあります。「二つの言語が理解できること」、「二つの文化が理解できること」、「弱い立場にいる者への理解が深まること」、「他文化への理解があること」等、このイベントで後輩たちによって教わることができました。
私は、幼いころからこうした研修に参加する機会があること、「日系人」であることを考えさせられる場があること、また同じ苦しみが分かる日系人の友人を作ることができるこのJICAプログラムに感謝の気持ちでいっぱいです。
ほんの数時間しか後輩たちとかかわることができなかったのですが、みんな自分の意見をしっかり持っている子たちばかりで、彼らから多くのことを学ぶことができとても充実した時間になりました。
彼らの今後の活躍に心から期待しています。
20期生 マリエラ